注文住宅で失敗しないキッチン選び|形状・材質・レイアウト・調理加熱器別のメリットデメリットを解説
この記事では、注文住宅でキッチンを選ぶ際、後悔や失敗をしないように、知っておきたい検討ポイントを紹介しています。キッチンの形状・材質・レイアウト・調理加熱器別のメリットとデメリットを詳しく解説しているので、キッチン選びに迷っている方は参考にしてください。

一口にキッチンといっても「形状、材質、お手入れのしやすさ」などに違いがありますから、迷ってしまうのも無理はないと思います。
まず大前提として、キッチンは大きく分けて「5種類の形状」があります。
キッチンを選ぶ際には、利便性やデザインなどを加味して「どんな形状にするのか」決める必要があります。
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そのほか「キッチンの材質」や「ガスコンロの種類」などについても検討するため、キッチン選びには「入念な検討が必要」といえるでしょう。
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1. 注文住宅のキッチン選びの「検討ポイント」は4つある!

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の4つのポイントに対して、「自分たちはどうしたいのか」検討することが大切です。
2. キッチンの代表的な形状5選&選び方

まずは、キッチンの形状の選び方を解説します。
キッチンには、大まかに分けて5種類の形状が存在します。
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それぞれ、以下のような形状をしています。
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それぞれどのような「特徴・メリット・注意点」があるのか把握し、一つに絞り込むのが、キッチン選びの第一ステップです。
一つずつ、みていきましょう。
2-1. I型キッチン

●I型キッチンの特徴I型キッチンとは、シンク・作業スペース・コンロが一列に並んだ形状のキッチンのことです。上から見ると、アルファベットの「I」のかたちをしていることから、そう名付けられています。 I型キッチンは「一直線」なので「作業がしやすい」のが最大の魅力です。 そのため、キッチンのなかでは、もっとも導入されている「スタンダードな形状」として知られています。注文住宅に限らず、一般家庭や飲食店などでも、頻繁に取り入れられています。 |
●I型キッチンのメリット:【省スペース】
I型キッチンは「一直線」なので、L型やU型と違い「省スペース」です。
そのため、キッチンの設置スペースが狭い場合にも、導入できます。
「リビングやダイニングの間取りを広く取りたい」「キッチンはシンプルでいい」という場合には、I型キッチンがよいでしょう。
●I型キッチンの注意点:【横に長すぎると作業しづらくなる】
I型キッチンを導入する際には「シンクからコンロまでの長さの設計」に気をつけてください。
「I型」という形状の特性上、シンクとコンロの間にある「作業スペース」を広くしすぎると、シンクからコンロまでの距離が長くなってしまい、作業がしづらくなる恐れがあるからです。
I型キッチンを導入する際には、シンクからコンロまでの距離は「120 cm 〜 180 cm 以下」を目安にしてみてください。
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2-2. L型キッチン

●L型キッチンの特徴L型キッチンは、その名の通りアルファベットの「L」のようなかたちのキッチンのことです。シンクとコンロの間の直角部分が作業スペースになります。 L型キッチンは、I型キッチンよりも作業スペースが広いですが、直角に収まっているため、U型キッチンよりも、作業動線が短い(=省スペース)です。 そのため「作業スペースや収納スペースを増やしつつ、作業効率を上げたい!」という欲張りな願望を抱いている人にとって、もっともおすすめできる形状だといえます。 |
●L型キッチンのメリット:【2人同時作業でもストレスがない】
子どもと一緒に料理を作ったり、夫婦一緒にキッチンに立ちたい場合、それなりのスペースが必要です。
I型だと行き来しづらくなりますが、L型だとスペースにゆとりがあるため、2人同時での作業でもストレスを感じづらくなります。
「家族一緒に料理を楽しみたい」という方は、L型キッチンがよいでしょう。
●L型キッチンの注意点:【L字の直角部分の下の収納がデッドスペースになりやすい】
L型キッチンの場合、I型よりも収納スペースが多いですが、L字の直角部分の下は、デッドスペースになりやすいです。
「キッチン周りをごちゃごちゃさせたくないが、モノが多い」という場合には、収納スペースが豊富な「U字型キッチン」を選ぶのがよいでしょう。
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2-3. U型キッチン

●U型キッチンの特徴U型キッチンとは、形状が「U字(コの字)型」になっているキッチンのことです。真上から見たときに、アルファベットの「U」のかたちになっていることから、そう名付けられています。 U型キッチンの最大の魅力は「キッチン下の収納スペースがもっとも確保できる形状」であること。 I型キッチンに比べて「3倍」収納スペースを確保できるため、食器、食材、調味料などにこだわりがあってたくさん所有している方には、もってこいの形状なのです。 「キッチン周りの調理道具は、全部キッチン下の収納スペースに収めたい」「吊り戸棚や食器棚を設置しないで、スッキリとさせたい」といった方は、U型キッチンを選びましょう。 |
●U型キッチンのメリット:【作業のしやすさもピカイチ】
U型キッチンは、I型やL型と比べて、作業スペースや収納スペースが広いため「作業しづらそう」だという印象を持つ方も少なくありません。
しかし、それは「半分正解、半分不正解」です。
一例として、以下の写真をご覧ください。
作業者の立つエリアが中央にあるため、シンク・コンロ・作業スペースのいずれにもアクセスしやすいことがわかります。

ただし、作業者が立つエリアが広い場合には、行ったり来たりが必要になり作業効率が下がるため、注意が必要です。
その点だけ押さえれば、U型キッチンはメリットが豊富な「優れモノのキッチン」だといえます。
収納スペース・作業スペースが広いうえに作業もしやすいからです。
●U型キッチンの注意点:【狭小住宅には導入しづらい】
U型キッチンは、単純計算でI型キッチンの3倍のスペースが必要です。
そのため、必然的にそれなりの広さが必要です。
狭小住宅の場合には、U型キッチンの導入が難しい可能性があることを、把握しておきましょう。
また、U型キッチンは3面設計なため、圧迫感が出やすいです。
「収納スペースを確保したいけれど、圧迫感があるのは嫌だ」という場合には、L字キッチンがよいでしょう。
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2-4. ペニンシュラ型キッチン


●ペニンシュラ型キッチンの特徴
ペニンシュラ型キッチンとは、I型キッチンの一部が壁に面しているキッチンのことです。 このキッチンの最大の魅力は「コミュニケーションの取りやすさ」です。 ペニンシュラ型キッチンの場合、作業スペースから向かって正面にダイニングやリビングが配置されるため、家族と会話をしながら作業できます。 「子どもの勉強の面倒をみながら、料理を作りたい」「会話を楽しみながら、楽しく料理を作りたい」といった方には、うってつけのキッチンといえるでしょう。 |
●ペニンシュラ型キッチンのメリット:【開放感があってスタイリッシュ】
ペニンシュラ型キッチンは、なんといっても「開放感があってスタイリッシュ」です。
U字キッチンのように圧迫感がないため、LDK全体がすっきりとスタイリッシュな印象に仕上がります。
黒木製材所で注文住宅を建てられたお施主様の多くは、このペニンシュラ型キッチンを採用されています。
「LDKを広くみせたい」「おしゃれなキッチンにしたい」という方は、ペニンシュラ型キッチンがよいでしょう。
●ペニンシュラ型キッチンの注意点:【油ハネ・ニオイ・作業音に注意が必要】
ペニンシュラ型キッチンの場合、作業する人の正面の壁が取り払われているため、油ハネや水ハネによって汚れてしまうことがあります。
加えて、調理中の料理のニオイや料理をしているときの音などが、ダイニングやリビングに伝わりやすいため、会話やテレビの音を阻害したり、ニオイが染みつきやすくなる恐れがあります。
「メンテナンスのしやすさを重視したい」「余計な清掃を増やしたくない」という方は、キッチンの形状をI型・L型・U型いずれかのキッチンにし、レイアウトを「クローズドタイプ」にするとよいでしょう。
クローズドタイプとは、キッチンが一つの個室のようになっているタイプのレイアウトのことです。
レイアウトについては「3-1.クローズドタイプ」でくわしく解説します。
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2-5. アイランド型キッチン

●アイランド型キッチンの特徴アイランド型キッチンとは、その名の通り「島(=アイランド)」のように、独立しているキッチンのことです。 アイランドキッチンの魅力は、ペニンシュラ型キッチンと同様「コミュニケーションが取りやすい」ことが挙げられます。 周りにさえぎるものがないため、ダイニングやリビングにいる家族との会話がしやすいです。 「料理を作りながらも家族の気配を感じていたい」「子どもの面倒をみながら料理を作りたい」といった思いがある方は、アイランド型キッチンがよいでしょう。 |
●アイランド型キッチンのメリット:【開放感があってスタイリッシュ】
アイランド型キッチンは、ペニンシュラ型キッチンと同様、前面にさえぎる壁がないため、開放感があってスタイリッシュです。
注文住宅のキッチンのなかでは「おしゃれでかわいい」という声が特に多く、大きな人気を博しています。
LDKを広々と見せたい方には、うってつけのキッチンといえるでしょう。
●アイランド型キッチンの注意点:【収納スペースが非常に少ない】
注意点もペニンシュラ型キッチンと同様、「油ハネ、ニオイ、作業音などの漏れによって、メンテナンスが増えるのが嫌だ」という場合には、キッチンの形状をI型・L型・U型いずれかのキッチンにし、レイアウトを「クローズドタイプ」にするとよいでしょう。
加えて、もう一つ注意したいのが「収納スペースの少なさ」です。
アイランド型の場合、ペニンシュラ型のように壁に面していないうえ、オープンタイプなので、基本的な収納スペースは「キッチン下のみ」となります。
ほかに収納スペースを作りたければ、背面にパントリーや食器棚を設置する必要があるでしょう。
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以上、5種類が、注文住宅のキッチンの「代表的な形状」です。
ご自身の「こだわり」や「ご家族との過ごし方」「ライフスタイル」などに応じて、形状を選んでみましょう。
基本概要 |
キッチンの形状は「I型」「L型」「U型」「ペニンシュラ型」「アイランド型」の5種類ある。 |
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I型キッチン |
●メリット 省スペース ●注意点 横に長すぎると作業しづらくなる ●おすすめな人
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L型キッチン |
●メリット 2人同時作業でもストレスがない ●注意点 L字の直角部分の下の収納がデッドスペースになりやすい ●おすすめな人
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U型キッチン |
●メリット 作業のしやすさもピカイチ ●注意点 狭小住宅には導入しづらい ●おすすめな人
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ペニンシュラ型キッチン |
●メリット 開放感があってスタイリッシュ ●注意点 油ハネ・ニオイ・作業音に注意が必要 ●おすすめな人
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アイランド型キッチン |
●メリット 開放感があってスタイリッシュ ●注意点 収納スペースが非常に少ない ●おすすめな人
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3. キッチンの代表的な材質2選&選び方

続いて検討したいのが「キッチンのワークトップ(天板)の材質」です。
ワークトップとは、調理を行うカウンターのことです。
キッチンには、シンク・作業スペース・コンロという基本パーツがありますが、それらが載る天板部分といったらわかりやすいかもしれません。
このキッチンワークトップには、大まかに分けて2種類の材質があります。
注文住宅にキッチンを作る場合には、ワークトップの材質選びも行う必要があります。
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それぞれの特徴について、ご説明していきましょう。
3-1. ステンレス

出典:フリーダムな暮らし「インテリア並みのおしゃれさ!主役級ステンレスキッチンをメインにしたインテリアコーディネートまとめ」
●ステンレスの特徴ステンレスは「鉄にクロムやニッケルを混ぜることで、強度や耐久性が高められた素材」です。 錆びにくく、汚れやニオイが染み込まない衛生的な素材なので、飲食店にも頻繁に採用されています。 ふきんなどでサッと拭き取ればピカピカになるため、キッチン周りの衛生面を気にする方にはピッタリです。 「清潔感のあるキッチンにしたい」という方には、ピッタリな材質だといえるでしょう。 |
●ステンレスのメリット:【モダンで洗練された雰囲気がある
「洗練されたスタイリッシュな印象」を与えることから「モダンな雰囲気にしたい」と考えるご家族から支持されています。
●ステンレスの注意点:【「もらいサビ・水あか」に注意が必要】
ステンレスは、人造大理石などと比べると、多少なりとも「メンテナンス」に注意が必要な材質です。
なぜならば、ステンレスは耐久性が高く錆びにくいですが、あくまでも金属なため、濡れた缶詰などを置きっぱなしにしていると、ステンレスにもサビが付着してしまう場合があるからです。
また、水分を放置していると、白っぽく曇った水あかが付着することがあります。
ステンレスを選ぶ際には、もらいサビ対策・水あか対策の両面から「水気の拭き取り」のこまめな実施が大切です。
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3-2. 人工大理石

出典:リフォームノリノコ「おしゃれなキッチンの定番!人工大理石とステンレスの違いを徹底比較」
●人工大理石の特徴
人工大理石とは、アクリル樹脂やポリエステル樹脂などの樹脂を混ぜ合わせた素材のことです。 人造大理石は、衝撃に強いタフな素材なので、長持ちします。
また、長時間放置しなければ、調味料や洗剤などによる変色も起こりづらいのも嬉しいポイントです。 「衝撃への耐久性を重視する」「メンテナンスがラクな材質がいい」という方は、人工大理石を選びましょう。 |
●人工大理石のメリット:【どんなLDKにもマッチする】
見た目は、良くも悪くも「シンプルで特徴がない」ため、どんな雰囲気のLDKにもマッチします。
「無難にまとめたい」「ステンレスほどシャープなイメージのキッチンにはしたくない」という方は、人工大理石がよいでしょう。
●人工大理石の注意点:【高温なものを長時間放置すると劣化する】
人工大理石をは耐久性が高いことで知られていますが、高温のものを長時間置いておくと、変色したり劣化したりする場合があります。
やかんや鍋を置くときは、鍋敷きを用いるなどして、劣化しないように気をつけましょう。
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キッチンの材質はさまざまありますが、代表的なのは以上で取り上げた「ステンレス」と「人工大理石」の2つです。
それぞれのメリット・注意点を比較して、お好みのものを選んでみましょう。
基本概要 |
キッチンの代表的な材質は「ステンレス」「人工大理石」の2種類ある。 |
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ステンレス |
●メリット モダンで洗練された雰囲気がある ●注意点 「もらいサビ・水あか」に注意が必要 ●おすすめな人
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人工大理石 |
●メリット どんなLDKにもマッチする ●注意点 高温なものを長時間放置すると劣化する ●おすすめな人
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4.キッチンの代表的なレイアウト5選&選び方

一方、注文住宅のキッチンには、大きく分けて「5種類のレイアウト」があります。
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それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで、最適なレイアウトを選ぶと、キッチン選びの失敗を減らせます。
本章で詳しく解説しますので、一つずつみていきましょう。
4-1.クローズドタイプ

出典:City House「クローズドキッチンという選択肢」
●「クローズドタイプ」の特徴「クローズドタイプ」とは、個室のように壁に囲まれており、戸口ひとつで出入りするレイアウトのことです。 クローズドタイプの最大の魅力は「料理のニオイや作業音が漏れにくい」ことです。 ペニンシュラ型キッチンやアイランド型キッチンなど「オープンタイプ」の場合、リビングやダイニングとの境目がないため、料理のニオイや作業音が漏れやすいことが懸念されていますが、クローズドタイプであれば、そういった心配がありません。 「ニオイや作業音で家族を邪魔したくない」「家具へのニオイ移りを避けたい」「会話やテレビの音をさえぎりたくない」といった場合には、クローズドタイプを選びましょう。 |
●クローズドタイプのメリット:【作業に集中できる】
クローズドタイプの場合、壁に囲まれているため、雑音が入ってきづらいです。
「炊事や片付けに集中したい」という方には、もってこいのレイアウトだといえるでしょう。
●クローズドタイプの注意点:【家族とのコミュニケーションが取りづらい】
クローズドタイプの場合、壁に囲まれているため、家族との会話はしづらいです。
「家族とのコミュニケーションを取りながら作業したい」「子どもの勉強をみながら家事をしたい」「テレビを見ながら作業したい」といった場合には向かないでしょう。
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4-2.セミクローズドタイプ

●「セミクローズドタイプ」の特徴「セミクローズドタイプ」とは、戸口が設けられており、キッチンが一つの独立した個室になりつつ(=クローズド)、キッチンに窓があり「開放感」も感じられる(=オープン)レイアウトのことです。 個室という「クローズドな要素」と、窓という「オープンな要素」が同居しているため「セミクローズド」というネーミングになっています。 セミクローズドタイプの場合、キッチンのワークトップが完全に隠れるため、散らかっていても来客などには見えない点が嬉しいです。 「雑然としたキッチンを見られたくないが、ダイニングやリビングにいる家族や来客とコミュニケーションを取れるようにしたい」といった場合には、セミクローズドタイプがよいでしょう。 |
●セミクローズドタイプのメリット:【ニオイや作業音が漏れにくい】
セミクローズドタイプの場合、オープンタイプと違って、料理のニオイやフライパンで食材を炒めるときの作業音、などが、リビングやダイニングに伝わりにくいです。油ハネや水ハネがキッチン外に飛び散る心配もほとんどありません。
「リビングやダイニングの清潔感を保ちたい」「ニオイや作業音で家族や来客を邪魔したくない」という方は、セミクローズドタイプを選びましょう。
●セミクローズドタイプの注意点:【際立った注意点はなし】
セミクローズドタイプは、開放感がありながらニオイや作業音の漏れを抑えられるため、オープンタイプとクローズドタイプの「いいとこどり」をしたレイアウトだといえます。
そのため、際立った注意点はないといえます。
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4-3.セミオープンタイプ

●「セミオープンタイプ」の特徴「セミオープンタイプ」とは、個室になっていないオープンタイプであるものの、高い仕切りを設けるなどして、ワークトップ(≒手元)を見えないようにするレイアウトのことです。 オープンキッチンならではの開放感(=オープン)が全面に感じられる一方、手元を隠す(=クローズドにする)ため、「セミオープン」とネーミングされています。 「開放感あふれるオープンキッチンに憧れるが、調理中は雑然としがちなので隠したい」といった方にピッタリなレイアウトといえるでしょう。 注文住宅のキッチンのなかでは、たいへん人気のあるレイアウトです。 |
●セミオープンタイプのメリット:【ダイニングやリビングの家族と会話できる】
セミオープンタイプは、手元が隠されているだけなため、実質的には「オープンタイプのキッチン」です。そのため、リビングやダイニングにいる家族とコミュニケーションが取りやすいです。
「子どもの宿題をみながら調理したい」「料理をふるまうのが好きなのでキッチンに立つことが多いが、家族や来客との会話を楽しみながら料理したい」といった場合には、セミオープンタイプを選ぶとよいでしょう。
●セミオープンタイプの注意点:【実質「オープンタイプ」なのでニオイや作業音が漏れる】
「セミオープン」というネーミングではあるものの、実質的にはオープンタイプといっても差し支えありません。そのため、オープンタイプにありがちな「ニオイ漏れや油ハネ・水はね」や「作業音の漏れ」などは防ぐことはできません。
「家具へのニオイ移りのダメージを最小限にしたい」という場合には、クローズドタイプや、セミクローズドタイプを選びましょう。
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4-4.オープンタイプ

●「オープンタイプ」の特徴「オープンタイプ」とは、ワークトップを隠す仕切りも設けない開放的なキッチンのことです。 写真をご覧いただくとわかる通り、I型キッチンが置かれているだけで、さえぎるものが何もないため、「清々しさ」や「清潔感」が感じられます。 「清潔感あふれるキッチンに憧れる」「料理が得意なため、自宅でクッキング教室を開きたい。そのためには手元が見えるキッチンがよい」といった方には、ピッタリのレイアウトといえるでしょう。 |
●オープンタイプのメリット:【おしゃれでモダンな印象を与える】
オープンタイプは、注文住宅のなかでも、比較的人気が高いレイアウトです。
モダンな印象を与えるため「おしゃれなキッチンに憧れる」という方におすすめです。
●オープンタイプの注意点:【ワークトップの清潔感の維持が必要】
オープンタイプの場合、ニオイ、水ハネ・油ハネ、フライパンを回す大きな作業音などが、ダイニングやリビングに漏れてしまうのが大きな注意点ですが、それに加えてもう一つ注意点があります。
それは「ワークトップの清潔感の維持が必要」ということ。
セミオープンタイプとは違い、手元をさえぎる仕切りすらないため、調味料はワークトップに置かない、常に台ふきんを拭いて清潔感を保っておくなど、相応のメンテナンスが必要になります。
キッチンが散らかっていると、リビングやダイニングなどの空間も雑然とした印象を与えやすいため、注意しましょう。
「片付けがニガテだ」「ワークトップには何も置きたくないが、いちいち引き出しから調味料を取り出したりするのが面倒だ」といった方は、セミオープンタイプにするとよいでしょう。
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4-5.壁付けタイプ

●「壁付けタイプ」の特徴
「壁付けタイプ」とは、壁に面するかたちで配置されるレイアウトのことです。 日本では「ウォール型キッチン」や「背面キッチン」という別名もあり、昔から存在するスタンダードなレイアウトです。 壁付けタイプの場合、壁に沿うかたちになるため、5つのなかでもっとも省スペースのレイアウトになります。 「リビングやダイニングの間取りを大きく取りたい」という場合には、壁付けタイプがよいでしょう。 |
●壁付けタイプのメリット:【「吊り戸棚」の設置が可能なためスペースを有効活用できる】
壁付けタイプの場合、「吊り戸棚」を設置することができます。
吊り戸棚とは、壁や天井に取りつけられた棚のことです。
オープンタイプの場合、収納はキッチン下か、キッチンの後ろに設置するパントリーやカップボードになりますが、壁付けタイプであれば、上下に収納箇所を設けられるため、限られたスペースを有効活用できます。
●壁付けタイプの注意点:【それほど収納力がない】
壁付けタイプ以外は、キッチンがリビング・ダイニングに向いているため、キッチンの背面に収納スペースを設けることができますが、壁付けタイプは壁に沿うレイアウトのため、それができません。
もっとも省スペースのレイアウトであるがゆえの注意点だといえます。
「収納力のあるキッチンがいい」という場合には、壁付けタイプ以外を選ぶか、L字型キッチンを選ぶなどして、収納スペースを確保しましょう。
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キッチンの材質はさまざまありますが、代表的なのは以上で取り上げた5つです。
それぞれのメリット・注意点を比較して、お好みのものを選んでみましょう。
基本概要 |
キッチンのレイアウトは「クローズドタイプ」「セミクローズドタイプ」「セミオープンタイプ」「オープンタイプ」「壁付けタイプ」の5種類ある。 |
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クローズドタイプ |
●メリット 作業に集中できる ●注意点 家族とのコミュニケーションが取りづらい ●おすすめな人
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セミクローズドタイプ |
●メリット ニオイや作業音が漏れにくい ●注意点 際立った注意点はなし ●おすすめな人
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セミオープンタイプ |
●メリット ダイニングやリビングの家族と会話できる ●注意点 実質「オープンタイプ」なのでニオイや作業音が漏れる ●おすすめな人
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オープンタイプ |
●メリット おしゃれでモダンな印象を与える ●注意点 ワークトップの清潔感の維持が必要 ●おすすめな人
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壁付けタイプ |
●メリット 「吊り戸棚」の設置が可能なためスペースを有効活用できる ●注意点 それほど収納力がない ●おすすめな人
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5.「調理加熱器(ガスコンロ/IHクッキングヒーター)」の選び方

注文住宅のキッチンでは、毎日利用する「調理加熱器(ガスコンロ/IHクッキングヒーター)」も、しっかりと熟考・検討したいものです。
そのため本章では、ガスコンロ/IHクッキングヒーターを比較したいと思います。
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一つずつ、みていきましょう。
5-1. 「停電時の可用性」を重視するなら「ガスコンロ」

●ガスコンロのメリット①:【停電時でも使える】
ガスコンロの最大のメリットは「停電時でも使える」という点。
その名の通り「ガス」を使うため、停電の影響を受けないのです。
「停電が頻発する/停電が長期化しやすい地域に住んでいる」という場合には、ガスコンロの方がよいでしょう。
●ガスコンロのメリット②:【火力が強い】
ガスコンロは、IHよりも火力が強い傾向にあります。
そのため、強い火力で料理をしたい方に向いている調理加熱器です。
また、五徳が立体的な形状をしているため、大きな中華鍋を振るようなダイナミックな動きもできます。
「火力が出ないと美味しい料理ができないと思う」「中華鍋を振りたい」という方は、ガスコンロにしましょう。
●ガスコンロの注意点①:【IHよりも火事のリスクがある】
ガスコンロは、IHと違って火が出ます。
そのため、ガスの消し忘れによる事故が起こる可能性があります。
昨今では、ガスコンロの消し忘れを防ぐ「センサー付きコンロ」などが販売されています。
火事が怖いが、ガスコンロがいいという場合には、そういった商品を購入するとよいでしょう。
●ガスコンロの注意点②:【お手入れに時間がかかる】
ガスコンロはIHと違って五徳があります。
この五徳に、食材のカスやスープの汁などがこびりついてしまいます。
五徳の汚れを長期間取り除かないと、こびりついて取りづらくなることがあります。
「お手入れがラクな調理加熱器がいい」と考えている方は、IHクッキングヒーターを選びましょう。
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5-2. 「安全性の高さ」を優先するならば「IHクッキングヒーター」

●IHクッキングヒーターのメリット①:【安全性が高い】
IHクッキングヒーターの最大のメリットは「安全性の高さ」です。
ガスコンロと違い、磁力のはたらきで鍋底を加熱するため火を使わず、コンロの火の「消し忘れ」による火事が起こるリスクがありません。
また加熱エリアに鍋が置かれていない場合、アラームが鳴って自動的に加熱が止まるものもあり、安心して使うことができます。
「子どもや高齢者による火事の事故のリスクを減らしたい」という方は、IHクッキングヒーターを選びましょう。
●IHクッキングヒーターのメリット②:【お手入れがラク】
IHクッキングヒーターには、ガスコンロにある「五徳(ごとく)」がないため、汚れたらサッと拭き取るだけでお手入れが完了します。
「掃除がラクなものがいい」という方は、IHクッキングヒーターが重宝するでしょう。
●IHクッキングヒーターの注意点①:【停電時には使えない】
IHクッキングヒーターは、電気を使うので、停電時には使用できなくなります。
「停電時にも調理ができるようにしたい」という方は、ガスコンロにするか、卓上コンロを購入しておくとよいでしょう。
●IHクッキングヒーターの注意点②:【火がないため、誤って触ってやけどする可能性がある】
IHクッキングヒーターの表面は、加熱調理が終わっても、しばらくは熱いです。
今は熱いことを知らせるランプが点灯するなど、やけど対策のアラートがあるものもありますが、子どもや高齢者は見落とすかもしれません。
子どもや高齢者に対して、まだ熱いうちは触れないように注意するなど、声かけすると安心です。
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加熱調理器は、それぞれのメリット・注意点をじゅうぶんに比較したうえで、お好みのものを選んでみましょう。
基本概要 |
キッチンの調理加熱器は「ガスコンロ」「IHクッキングヒーター」の2種類ある。 |
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ガスコンロ |
●メリット
●注意点
●おすすめな人
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IHクッキングヒーター |
●メリット
●注意点
●おすすめな人
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6.【最終チェック!】注文住宅のキッチン導入で「失敗」を防ぐための注意点5つ

あなたが注文住宅に設えたいキッチンのイメージが固まってきたのではないでしょうか。
その一方で、注文住宅のキッチンを導入する際には、注意すべきポイントがいくつかあります。
ポイントは全部で4つあります。
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注意点を押さえることで、失敗や後悔をするリスクを減らしていきましょう。
一つずつ、解説します。
6-1.キッチンの価格相場は「70 ~ 250万円」と幅が広い
キッチンは「形状・材質・レイアウト・調理加熱器」の組み合わせによって、価格が大きく異なるため、相場はあってないようなものです。
強いていうならば「本体+工事費」で安くて総計70万円~、高いと総計250万円以上」が相場になります。
ただし、形状・材質・レイアウト・調理加熱器は、おおまかに「比較的安く済む」「高くなりがち」といった傾向はあります。
「キッチンにこだわりを詰め込みたいが、価格も重要」という方は、以下を参考に、価格も含めて検討してみてください。
形状 |
【安い】I型<L型<ペニンシュラ型≒アイランド型<U型【高い】 |
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材質 |
【安い】ステンレス<人工大理石【高い】 |
レイアウト |
【安い】オープン<壁付け<クローズド【高い】 |
調理加熱器 |
【安い】ガスコンロ≒IHクッキングヒーター【高い】 |
価格を抑えるには、以下の2つに取り組んでみてください。
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6-2.キッチンの高さは「身長 ÷ 2 + 5 cm」を目安にする
キッチンを選ぶ場合「作業のしやすさ」は欠かせない要素です。
よくキッチンに立つ方の身長に合わせた高さにするのがおすすめです。
そうすれば、作業効率が上がったり、腰を痛めずに済んだりするからです。
ワークトップの高さの考え方は、以下の計算式を参考にしてみてください。
身長 ÷ 2 + 5 cm |
例えば、奥様の身長が160cmの場合。
「160cm÷2+5cm=85cm」の計算式算出される「85cm」が床からワークトップまでの理想的な高さです。
注文住宅を導入する際には、この計算式を参考に、高さを計算してみてください。
6-3.キッチンの奥行は「60 ㎝ ~ 65 cm」にする
キッチンで作業する場合「奥行」も重要なポイントです。
あまり作業しない場合には「55cmタイプ」のものを選んでもよいかもしれませんが、日常的に調理をする場合には「60cm」や「65cm」タイプを選びましょう(I型・L型・U型の場合)。
一方、アイランド型やペニンシュラ型の場合には「75〜100 cm」を目安に選ぶと、多方向から同時に作業したり、反対側から作業しやすくなるためおすすめです。
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アイランド型やペニンシュラ型の場合、奥行きが長すぎるとかえって作業がしづらくなるため、注意しましょう。
6-4.「ワークトライアングル」を意識する
注文住宅にキッチンを導入する際には「ワークトライアングル」を意識すると、使いやすさがアップします。
ワークトライアングルとは「シンク・コンロ・冷蔵庫」を結んだ三角形のことです。
このトライアングルの3辺の長さの合計が「3.6 〜 6.6 m程度」になっていると、使い勝手がよくなるといわれています。参考にしてみてください。
「シンク・コンロ・冷蔵庫」を結んだ三角形の3辺の合計が「3.6~6.6 m」 |
6-5.キッチンにビルトイン型食洗機を導入するなら「浅型」より「深型」がおすすめ
注文住宅にキッチンを導入する場合、スッキリとみせるために「ビルトイン型食洗機」を導入する人が少なくありません。
ビルトイン型食洗機とは、ワークトップ下の収納スペースの一つに食洗機エリアを設けることで、ワークトップをスッキリとみせられるものです。
このビルトイン型食洗機には「浅型」と「深型」があります。
一言でいえば、一度に洗える食器の量が少ないのが「浅型」、多いのが「深型」となります。
メーカーや種類によって異なりますが、浅型は5名分程度、深型は6名分程度の食器を一度に洗浄できます。
そのため「人数が6人もないから浅型でよいだろう」と考えるかもしれません。
しかし、おすすめは「深型」です。
なぜならば、深型の場合、大きいサイズの食器や長い調理道具なども洗うことができるからです。
家族が増えたり、子どもが大きくなるなど、家族構成の変化に対応できるのも「深型」となります。
「DINKSの(子どもを持たない)予定」「3人家族で今後増える予定はない」「あまり料理をしない」といった場合は、浅型でもOKですが、そうでない場合には、深型のビルトイン型食洗機を選んでみましょう。
7. まとめ
いかがでしたか。
キッチンについて、参考になる情報を収集することができましたか。
- I型キッチン
- L型キッチン
- U型キッチン
- ペニンシュラ型キッチン
- アイランド型キッチン
- ステンレス
- 人工大理石
- クローズドタイプ
- セミクローズドタイプ
- セミオープンタイプ
- オープンタイプ
- 壁付けタイプ
●「調理加熱器(ガスコンロ/IHクッキングヒーター)」の選び方
- 「停電時の可用性」を重視するなら「ガスコンロ」
- 「安全性の高さ」を優先するなら「IHクッキングヒーター」
●【最終チェック!】注文住宅のキッチンで「失敗」を防ぐための注意点5つ
- キッチンの価格相場は「70~250 万円」と幅が広い
- キッチンの高さは「身長 ÷ 2+5 cm 」を目安にする
- キッチンの奥行は「60 cm ~ 65 cm 」にする
- 「ワークトライアングル」を意識する
- キッチンにビルトイン型食洗機を導入するなら「浅型」より「深型」がおすすめ
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